ディセンターメルマガをご覧の皆さま、こんにちは。
今回は、コロナ後の経営を考える第8弾。「無形資産のストックと活用」です。
イノベーションマトリックスの下の3マスは「経営の土台」と言われます。
つまり、ここがどっしりとしていることで、事業の実現可能性が上がります。
私は、補助金の審査等もしていますが、どんなに良い事業計画でも、ここがしっかりとしていなければ、実行実現する可能性が低いとみなすことがあります。事業計画を「絵に描いた餅」にしないためにも、ここがとても重要ですね。
その中で前回説明した有形資産は、基本的にカネとカネが化けたものですから、カネを多く持っている方、つまり大きな企業が有利になります。
中小企業は「お金がないからこれができない」とよく言ってしまいます。ちょっときつい言い方になってしまうのですが、これはある意味「自明の理」のようなもので、ここを言っても始まりません。
ではどうすれば良いのか…
「カネがないなら知恵を使え」と言いますが、「カネがないなら無形資産を使え」です。
なぜなら、無形資産は有形資産と比べ、カネの量に比例しないからです。
また、大きな企業は多くの無形資産を持っていてもほとんど使いこなしていません。そのような中、小さい企業でも無形資産を見いだし、有効活用すれば勝てる要素が多く見つかるからです。
無形資産に関しては、もう一つ大きなポイントがあります。それは、「普段のビジネスにおいて無形資産の蓄積をイメージすることが大切だ」ということです。
ビジネスは、価値と対価の交換です。対価というとお金が思い付きますが、実はそれだけではありません。良いビジネスをすれば、信用が蓄積します。また、ネットワーク、ロイヤルティ(忠誠心)、実績やノウハウなど、お金以外にも得るモノがあります。
大事なのは、「これを意識的に貯めることができるか?」ということです。
というのも、無形資産はデリケートなものですので、意識しなければ見えませんし、大切にしなければすぐに消えてなくなってしまうものだからです。
コロナに関係なく無形資産は非常に大事なものですが、コロナ後の経営では、ここがさらに大きな鍵になるのではないでしょうか。
私が委員長を務める全国的な補助金でもコロナ後は不正が増えました。このような経済危機が起こるたび、便乗値上げや不正などが横行します。
だからこそ、道徳と常識を守った経営をすることで、ビジネスに一番大事な信用を守ることができるのではないでしょうか。
今度一万円札になる渋沢栄一も、「ビジネスには信用が一番である。有形資産は有限だけど、信用は無限だ。多くの信用があれば、たとえ有形資産がなくとも、調達することができる」と言っています。
確かに、信用があれば、お金を借りることができますし、安く手伝ってもらうなどコスト削減にもなります。同じ商品を同じ量売るにも、信用があればうまくいく確率が高いと言えます。
無形資産には他にも知名度、ブランディング、特許権、システムソフトなどがあります。これからの経営では、いかに無形資産が充実しているのかが益々大きな競争要因になります。
「カネは残らないものに使え」
私が幼少のころ、経営者の祖父「じっちゃん」が言っていました。学校では、「お金は大事なものだから、必要なモノを買いなさい」と教育されていたにも関わらず・・・
たぶん、「駄菓子を買ってお金の使い方を覚えなさい」「友人との友情を育みなさい」「貴重な体験をしなさい」「いろいろなところに行って知見を広めなさい」という「無形資産の蓄積」のことを言っていたのですね。
昭和の経営者は既に無形資産の重要性に気づいていたのかもしれません。
じっちゃんと私の思い出をモチーフに小説を書きました。電子書籍のみですが、よろしかったらこちらもどうぞ。
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